はやしあきこ原画展

林明子さんの美術展に行ってきました。







物心ついて、自分で選んで買ってもらった絵本の一冊は、林明子さんの「はじめてのおつかい」でした。


すごく好きな絵本で、
小さい頃、何度も何度も読んで、じっくり絵を眺めて、真似して絵を描いてみたりした絵本です。

この絵本を見ながらお父さんと話したことも、いまだにいろいろ覚えています。





自転車が猛スピードで通りすぎるページ、
主人公のみいちゃんは、壁にピトッと張り付いて、自転車をよけてる絵。
お父さんはこの絵がいいと言っていて。


この絵本の中で、私は、家の中や街の描かれた、賑やかだったり、こまかったりするページが好きだったので、その絵とは逆の、みいちゃんと自転車とブロック塀だけの絵をなんでいいと思うのか、わかりませんでした。
お父さんに訪ねると、
「この絵はすごいねー、自転車がすごい速さで走ってるのが伝わってくる」と言っていました。



この事を今でも覚えているのは、
なにか、その時の自分にない、新しい「絵の見方」の発見だったからなのかな、と思ったりします。









展示では、「はじめてのおつかい」や「コンとあき」「きょうはなんのひ?」などの原画が展示されていました。





ふっくらした曲線、柔らかい筆使い、絵本で見るより濃く明るい色あいがして、原画だから、より目に見えてわかる色の重なり、ていねいで、あたたかい絵でした。


林明子さんの描くこどもたちは、みんなほっぺがぴかぴかしていて、こどもの素直さが伝わる仕草や表情。

林さんが描く風景には、その瞬間の時間と季節、それまでの時間の積み重ね、時間の流れ、共生しているものたち、が自然に描かれています。




林さんの絵は、眺めれば眺めるほど、そういったものがどんどんみえてきます。


絵の中に日常がしっかりあって、創作されたものというより、その世界は元々あって、それを「書き取ったもの」という感じがします。





そうゆう気づきがあるたびに、林田さんの画力はもちろんだけど、観察力と想像力のすごさに感服します。


対象や全体をしっかりみることができて、そして、それらのその先、その次を連想できる人。
林さんは、きっとすごく思いやりのある人なんだろうなと思います。









そして、林さんの手製の本物のコンのぬいぐるみと、みいちゃんのお気に入りの人形がかざられていました。
長年一緒にいて、大事に想われてるからこその汚れ具合。


会場に再現された林さんのアトリエは、窓から緑の四季が眺められて、みるからに環境のいい所でした。






作品が生みだされる母体には、場所、生活の衣食住、日々の心情なんかが折り重なってあって、それら全てと同じ成分で作品はできている。
母体と作品は同じ成分。ほぼイコールに思います。


お母さんの食べたもので、おなかの赤ちゃんの血肉がつくられるのと同じイメージ。

血を分けたこども。
細胞分裂した分身。



そう思うと、
自分をよい環境においておく大切さ。
自分が心地よい気分でいることの大切さ。



健康な日々から、健やかな自分がつくられて、
そんな自分が生みだすものは「いい匂い」がする。

いい匂いの料理や洋服や音楽や会話など、自分から生まれる全ての創作は、また日常に散らばって、日々を豊かに健康にしてゆく。

そんな、土作り、食物連鎖、命の循環のような、四季の巡りのような、果ては魂の輪廻のような。

気持ちのいい生活と創作の日々を、私も紡げるようになれたらな。










お土産に、絵本の中で、みいちゃんがおつかいした牛乳と同じパッケージのミルクラスクを買って帰って、嬉しい気持ちになりました。





電車に飛び乗ったせいで、シッポが挟まってしまって立往生のコン。とてもかわいいです。
だっこしたい。

pa-pu- to Pi-chicu pi

『ぱーぷー と ぴーちくぴ』 ひろぴーという子が、「作っているもの」と「日々」をつづっています。

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